反り腰だと思っていたあなたへ
「わたし、反り腰だから腰が痛いんだと思ってました。」
治療に来られる方の多くが、最初にそうお話しされます。
でも実は、“反り腰のように見えているだけ”というケースがとても多いんです。
あなたの腰が痛いのは、
姿勢が悪いからでも、体がゆがんでいるからでもありません。
むしろ、
体が一生懸命バランスを取ろうとして頑張っている結果なんです。
この誤解があると、
- 反り腰を直そうとして胸を張る
- 腰を反らすストレッチを頑張る
- 腹筋だけ鍛える
といった間違った対処につながり、
かえって腰痛が強くなることもあります。
この記事では、
- なぜ反り腰に「見える」のか
- 本当の原因はどこにあるのか
- 今日からできるシンプルなセルフケア
を、とても分かりやすくお伝えします。
読み終わるころには
「そういうことだったのか!」とスッと納得できて、
今より身体がラクに感じられるはずです。
反り腰だと思い込む人が多い理由
SNSでも「反り腰ストレッチ」がよく出てくるため、
腰が反って見えると「私は反り腰なんだ」と思い込みがちです。
でも実際は、
本当の意味での反り腰の人は全体の1〜2割ほど。
残りの多くは、
反り腰に見えているだけの姿勢です。
腰が反って見える=反り腰ではない本当の理由
反り腰のように見える姿勢には3種類あり、
本当に腰が反っているのは一部だけ。
多くの方は“スウェイバック”による見せかけの反り腰です。



📸 1枚目 反り腰(本物の反り腰)
腰椎のカーブが強く、骨盤が前傾しているタイプ。
腰そのものが反りすぎて負担がかかっている「本来の反り腰」。
上半身の傾きは少なく、重心は前に寄りやすい。
📸 2枚目 スウェイバック(軽度)=“見せかけの反り腰”
一見まっすぐ立っているように見えるが、骨盤が前にズレているため
腰が“反って見える”タイプ。
本当は腰が反っているのではなく、身体がバランスを取るための補正姿勢。
📸 3枚目 スウェイバック(重度)=“最も負担が大きいパターン”
骨盤が大きく前に滑り、上半身は後ろに倒れている状態。
腰が過剰に反って見えるうえに、背中・首にも負担が集中しやすい。
反り腰に見えるが、原因は「腰」ではなく骨盤位置と全体バランスの崩れ。
腰が反って見えるのは、
原因ではなく “補正の結果” です。
腰そのものが悪いのではなく、
身体がバランスを取ろうとして仕方なく反っているだけ。
骨盤が前にズレる
立っている時に骨盤が少し前に滑ることがあります。
これは誰にでも無意識に起こることです。
上半身が後ろへ倒れてバランスを取る
骨盤が前にズレると重心も前へ。
倒れないよう、身体は腰や背中を使って上半身を後ろへ引き戻します。
結果として腰だけが反って見える
こうして補正が重なり、
本当は反り腰でないのに 反り腰のように見える姿勢 が出来上がります。
この記事で一番大事なこと
腰が反って見えるのは「腰の問題」ではなく、
骨盤の位置がズレた結果、腰が頑張らされているだけ。
ここを理解できると、
対処法はガラッと変わります。
反り腰っぽい姿勢が腰痛につながる理由
本来は骨盤まわりやお腹、お尻など複数の筋肉で分担するはずの支えを、
骨盤がズレるせいで 腰だけが一人で背負う形 になります。
その結果、
- 朝の腰痛
- 長く立つと腰が重い
- ストレッチしても改善しない
といった症状が出やすくなります。
特に寒い季節は筋肉が固まりやすく、痛みが悪化しやすい特徴があります。
やりがちなNG対処法
ついやってしまうけれど、逆効果になりやすい行動です。
- 胸を張って姿勢を良くしようとする
- 腰を反らすストレッチ
- 腹筋だけを頑張る
どれも骨盤のズレにはアプローチできず、痛みを長引かせます。
今日からできる簡単セルフケア
では、どうすれば良いのか?
結論はとてもシンプルです。
息を吐き切って、お腹を薄くする。
これだけでOKです。
やり方
- 力を抜いて自然に立つ
- 鼻からゆっくり8秒かけて息を吐く
- 吐き切ると、お腹が自然に薄くなる
- そのまま5秒キープ
このとき、腰がふっと軽くなる人がとても多いです。
なぜ効くの?
息を吐くことで、お腹の深い筋肉が自然に働き、
骨盤が安定するから。
すると腰は無理に反る必要がなくなり、
姿勢の補正がほどけていきます。
ポイント
- お腹をへこませようとしない(自然に薄くなるのが正解)
- 胸を張らない
- 力まない
- 1日3回、30秒で十分
まとめ:見るべきは「腰」ではなく「骨盤の位置」
反り腰だと思っていた姿勢が、
実は 骨盤の位置ズレが作った補正姿勢 だった。
これは臨床でも非常によく見られるケースです。
腰だけをなんとかしようとするのではなく、
身体がどうバランスを取っているかに目を向けてあげること。
違和感が続く時は、
身体からの「無理しないで」のサインかもしれません。
そんな時は少し休んであげてくださいね。
筆者プロフィール
柔道整復師・鍼灸師として15年以上、
肩こり・首の痛み・疲労感・姿勢の悩み・なんとなくの不調など、
幅広い症状に対応しています。
反り腰と勘違いされやすい姿勢についても、
日々の臨床経験から分かりやすくお伝えしています。

